狭いケージにすし詰めにされて一生を終える鶏たち 毎日毎日われわれの社会は大量の鶏卵を消費する。「養鶏場」はまるで巨大な工場のように安価で均一な鶏卵をマーケットに送り出す。しかしよく考えてみればそれらの卵は一つ一つニワトリが苦労して産卵したものなのだ。
「バタリー飼育」というのは採卵のための養鶏法の名称だ。この飼育法ではとても狭いケージにニワトリ4~5羽が詰め込まれる。ほとんど身動きも出来ないまま産卵を続けるニワトリたちはかなりのストレスに晒されることになる。残念ながらこれが現在の養鶏法のスタンダードだ。

バタリー飼育に「No!」 しかし近年EU圏内ではこのバタリー飼育に「ノー」という消費者や生産者が増えつつある。ベルギー、オランダ、ドイツの多くの生産者や大手スーパーは既にバタリー飼育で生産された鶏卵を商品棚から追放している。
フランスはやっとその仲間入りを果たす。動物愛護団体「L214」のHPでは、同団体が仏有名スーパーチェーン「Monoprix(モノプリ)」に対して行ったバタリー飼育反対運動の様子を報告している。
モノプリはフランスで初めてバタリー飼育で生産された鶏卵を販売しないと宣言。来る4月1日からは平飼い、放し飼い、または有機農法で育てられたニワトリの卵のみを販売するという。
チャリティニュース 2013年2月16日
日本の採卵養鶏については、以下に転載する記事が良く解ると思います。
転載元:
動物の解放 様
採卵鶏(レイヤー)機械によるくちばしの切断

くちばしの切断は、無麻酔で行われ、日本の採卵養鶏では約80%で実施されています。
雌のひなは75日齢ころまで専用の鶏舎で群飼されます。過密な群飼によりひな同士のつつき合いが広がりやすく、傷つくひなが出てくるため、電気加温式断嘴器で、
くちばしの切断(デビークまたはビークトリミングと呼ばれる)が行われます。
くちばしの表面の角質層と骨の間には神経と血管の通ったやわらかい組織があり、デビークされた鶏は痛みで苦しみます。
雄は卵を産まないため、雛の段階で、ビニール袋にいれて圧死・窒息死、もしくはシュレッダーなどで生きたまま処分されます。
毎年1億8千万匹の雄の雛が処分されています(2006年 朝日新聞より)

処分された雄のひな
75日齢ころからひなはケージで飼育されます。卵を集約的に生産できるよう、バタリーケージで飼育されることが多く、日本の採卵養鶏場では約95%がバタリーケージ飼育です。
※バタリーケージとはワイヤーでできたケージ(縦24cm×横35cm×高さ41cmサイズが一般的)の中にニワトリを2羽ずつ(日本の平均的な収容数)入れ、それを何段かに重ねて飼育する方式です。
1羽あたりB5サイズほどの、羽を伸ばすことのできないケージの中で、卵が産めなくなり屠殺されるまでの間を過ごします。
バタリーとは、「一連の類似した結合される単位からなる装置」の意味であり、この金網以外に何もないケージの中で、鶏は卵を産む「装置」にすぎず、装置として扱われる鶏は精神に異常をきたします。
動物行動学者コンラート ローレンツは次のように言っています。
「動物のことを何がしか知っている人間にとって、鶏が無駄に覆いを得ようとして、何度も何度もケージ仲間の鶏の下にもぐりこもうとしているのを見ているのは、実に悲痛なものである。
こうした状況のもとで、雌鶏は間違いなくできるだけ長く卵を持っておこうとするだろう。
ケージ仲間の混雑の中では卵を産みたくないという本能は、同じような状況で人ごみの中で排便したくないと思う文明人の気持ちと同じくらい強いはずだ」
(「動物の解放」 ピーター・シンガー著 より)
鶏たちは、卵が転がりやすいよう、
傾斜のある金網の上で、過ごします。
ケージの中には、止まり木も、巣も、砂浴びするための砂もありません。
ケージの中には何もありません。
運動不足のため、骨粗しょう症や骨軟化症が多発し、出荷の時には30%の鶏が骨折するとも言われています.
(「アニマルウェルフェア」 佐藤衆介著 より)

(2011年 日本)
採卵鶏は150日齢頃から産卵をはじめます。
産卵を開始して約1年が経過すると、卵質や産卵率が低下し、この時点で、と殺される場合もありますが、長期にわたって飼養しようとする場合は、強制換羽がおこなわれます。
強制換羽とは、鶏を絶食などの給餌制限により栄養不足にさせることで、新しい羽を強制的に抜け変わらせることです。ショック療法ともいえる強制換羽で死ぬ鶏もいますが、生き残った鶏は、また市場に出せる質の良い卵を生むことができます。
強制換羽は日本の採卵養鶏では約50%で実施されています。 強制換羽後、約8ヶ月間産卵させ、産めなくなると、生きたまま輸送用容器に詰められ、食鳥処理場へ出荷されます。

出荷される鶏
恐竜の子孫である鶏は、朝起きたら羽ばたきし、見繕いをし、地面をつつき採食し、1匹の雄を頂点とした秩序だった生活を好む生き物です。
自然界では、鶏は1日に15000回地面をつつく生き物ですが、金網の中、金網の上でそれはかないません。
また、デビークされていれば、地面をつつくことはできません。
土の上を歩いていれば自然に擦り切れる爪は、伸びきり、金網にからまります。

(2011年 日本)
バタリーケージの中に砂はなく、鳥は掃除行動の一種である「
砂浴び」をすることができません。
しかし砂浴びの真似事はします。
羽は汚れ、金網で擦り切れます。

(2011年 日本)
ケージ飼育と放牧飼育を比較すると、
「他に何もすることが無いケージ飼育では摂食時間が有意に長かった。しかし摂食時間のうち30~50%は餌の摂食をともなわない、
偽摂食行動(食べる真似)である」という報告もあるそうです。
(「アニマルウェルフェア」 佐藤衆介著 より)
EUでは2012年から、従来型のケージは禁止、ケージの中には止まり木、砂、巣箱を設置しなければならない、とされています。しかしそれでも、ケージ飼いは鶏にとっては辛いものでしょう。
ケージの最低面積が決められていますが、1羽あたり750平方センチメートルという狭さです。
27cm×27cm程度に過ぎません。
しかし、すでにケージ飼育(囲いの中で飼うこと)そのものを禁止している国もあります。
スイスは放し飼い(平飼い)のみです。

(2011年 日本)
スーパーで売られている1パック100~200円の卵はほぼ100%、このバタリーゲージで作られています。
卵に含まれる栄養素は、すべて植物から摂取することが可能です。わたしたちは卵を食べないというとても簡単な選択をすることができます。
また、卵をどうしても食べたいならば、割高ではあっても、鶏の福祉に配慮されて育てられた、放し飼いされた、鶏の卵を買うという選択ができます。その選択は命あるものを利用する上で、最低限の配慮です。
鶏自身には選択の余地はありません。
東北大震災では、原発20キロ圏内が鶏が約63万羽いたといわれています。圏内に残された鶏は、ケージの中で、自ら餌を求めて歩き回ることもできず、飢えと乾きでほぼ全滅しました。
生き残った数百羽については、ビニール袋に入れて、二酸化炭素注入による窒息死、という方法がとられました。これは鳥インフルエンザのときの殺処分方法と同じです。

餌を求め、ケージから頭を出して死んでいる鶏
(今本獣医師作成「福島第一原発周辺における動物たちの現状報告書」より)

(2011年 日本)
鶏は1日に200万羽 と殺されています。(2009年度 農林水産省統計より)
日本人の卵の消費量は、世界第二位 (世界鶏卵評議会(IEC)2010年出典)
2011年時点での日本の採卵鶏の飼養戸数は、2,930 戸。1億7591万羽の採卵鶏が飼育されています。
近年飼養戸数、羽数ともに減っています。しかし10万羽以上の規模の農家が増えており、
1戸あたりの飼養羽数は増加しています。(一戸当たり平均49600羽 2011年度)
生産性を重視し、鶏の感受性を無視した工場式畜産が進められています。
鶏卵の国内自給率は90%台後半。(参考:農林水産省、財務省資料)

鶏は、卵を産む装置ではなく、感受性のある生き物です。
科学情報誌new scientistによると、金網以外に何もないバタリーケージで育てられた鶏と、敷き藁の上で育てられた鶏に
巣箱を与えると、敷き藁の上で育てられた鶏は、じきに巣箱から離れたそうですが、ケージで育てられた鶏は、巣箱に夢中になって、そこからなかなか離れなかったそうです。
(「動物の解放」ピーター・シンガー著 より)
また、空調が利いた室内で、餌や水が目の前にあり、糞をしたら金網の下に落ちる、という衛生的な飼い方と、日陰と日向が混在し、暑さ寒さを自分でしのがねばならず、
わらの上からくちばしでつついて餌を探さねばならない屋外飼育を、鶏に選択させたところ、鶏は後者を選択したそうです。
(「動物たちの幸せとは何か」 佐藤衆介著 より)
採卵用鶏の関わる法令など(採卵用鶏の権利を守るための制度は、日本にはありません)
動物の愛護および管理に関する法律畜産動物は、動物愛護管理法の対象動物であり、第44条の罰則の対象動物である。しかし第10条の動物取扱業の登録を要する対象動物ではない。
また動物愛護管理法に、畜産動物に限定した条項はない。
産業動物の飼養及び保管に関する基準 「産業動物の衛生管理及び安全の保持」「虐待の防止」などが記されているが、この基準は努力義務のみである。ごく簡単な内容で、具体的な飼養方法についての記載はない。
アニマルウェルフェア(動物福祉)に対応した採卵鶏の飼養管理指針 農林水産省の要請で、畜産技術協会が作成、2010年公表。国際的なアニマルウェルフェアへの取り組みを受けて作成された指針。罰則はなく、拘束力は弱い。具体的な飼養方法、数値目標も記載されているが、従来型バタリーケージをなんら規制するものではなく、改良型ケージ(エンリッチケージ)への移行のための巣箱、砂、止まり木の設置などについても記載はない。またビークトリミング(くちばしの切断)、強制換羽の方法が記載されているが、これを禁止するものではない。
家畜伝染病予防法家畜の伝染性疾病の発生の予防とまん延の防止のための法律。家畜伝染病予防法施行規則第21条において規定された飼養衛生管理基準には「家畜の健康に悪影響を及ぼすような過密な状態で家畜を飼養しないこと」とある。また、毎年、飼養衛生管理基準の遵守状況について調査が行われ、家畜伝染病予防法第十二条の七に基づき、毎年インターネットで公表されている。
そのほか、動物福祉に関する項目はない。
養鶏振興法種卵(ふ化させるための卵)を生産する種鶏業者と、鶏のひなを生産するふ化業者に関する法律。種卵・ひなの表示規定や、ふ化業者の登録について記されている。「施設の整備」の項で、種鶏やひなが病気にかからぬようにすること、という努力義務が記されているが、その他に動物福祉に関係する条項はない。
家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(家畜排せつ物法)家畜の排泄物の処理や保管、有効利用について記されている。動物福祉に関する条項はない。
食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律鶏のと殺(食鳥処理)事業の許可、公衆衛生上必要な措置などについての法律。食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律施行規則(厚生労働省令)に「食鳥の集荷に当たっては、異常なものの排除に努めるとともに、生体の健康の保持に留意して輸送すること」とあるほかは、動物福祉に関する条項はない。
写真のほとんどはアニマルライツセンターより
http://www.flickr.com/photos/animalrightscenter/ 数値は、2007年調査 畜産技術協会資料より
http://jlta.lin.gr.jp/report/animalwelfare/index.htmlブロイラーについてはこちら→
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-8.html
卵って買い物に行けば当たり前のように売っていて、買うのに困った事なんて無いでしょう。
生き物から産まれて来るものだと解っているはずですが、どうして当たり前に買えるくらいたくさんの卵が流通しているか考えた事があるでしょうか?
この記事を最後まで読んで下さった方には、
「産み続ける事を強要される雌鳥の犠牲」
や
「産む事が出来ないから生まれた瞬間に不要だと命を奪われる雄鶏の犠牲」が
ある事を認識して貰えたと思います。
又、産む為に生かされている雌鳥達は、
「嘴を切断され」
「一生を身動きする事も出来ないような狭い場所に固定され」
「産めなくなると肉にされる」
事も認識して貰えたと思います。
対照的に

平飼いってこんな感じです。
平飼いにも鶏に強いている部分もあるかも知れません。
でも、より動物に優しい方法が取られている生産方法がスタンダードとなるべきだと思います。
平飼いの卵はまだまだ割高な商品です。
ですが、平飼いの卵の方が多く選択されるようになれば、平飼いの養鶏場が増え、価格も安定して来るかも知れません。
卵も牛乳も同じですが、動物への悲惨な行為がより少ない商品を選択して欲しいと思います。
ランキングに参加しています。
少しでも多くの方に動物たちの現状をお伝えしたいので、
よろしければポチッとお願いします。


にほんブログ村
地球生物会議ALIVE 畜産動物

アニマルライツセンター 畜産

PEACE 畜産
