ペットに責任持って 犬猫の引き取り、県内も有料化 /岐阜
asahi.com 2010年10月4日
ペットを責任を持って飼ってもらおうと、今月から県内の保健所が犬猫を引き取る際に、手数料を取り始めた。すでに多くの自治体では取り組んでおり、岐阜県の動物行政は遅れ気味だ。「安易にペットを捨てなくなる」と期待する声の一方で、引き取り手がなくて殺処分される犬猫の数を減らす根本的な対策にはならないといった指摘も根強い。
右目が茶色で、左目はブルー。岐阜市の朝居守さん(67)が飼う「クッキー」は、もうすぐ2歳になるシベリアンハスキーの雑種のメスだ。「迷子になっても見分けが付きやすいでしょ」と妻の恵美子さん(64)は、なでながらほほ笑む。
クッキーとは一昨年の暮れ、岐阜市保健所であった犬の譲渡会で出会った。朝居さん宅の近くの堤防で、片目が見えない野良犬が保健所へ連れて行かれそうになるのを見て、次に犬を飼うなら保健所で探すと夫婦で決めていた。
クッキーは子犬の時、繁殖しすぎて困った飼い主に保健所に連れて来られた。恵美子さんは「ブランドの犬じゃなくてもいい。1匹の命が助かれば」と話す。
県内で殺処分された犬は、2009年度は610匹。1997年の5369匹に比べれば1割近くまで減った。猫は昨年度2739匹が殺処分された。97年の4813匹よりも大幅に減っているが、犬に比べると、まだまだ多い。
環境省は06年、自治体で引き取る犬猫の数を、17年度までに半減させる指針を定めた。県もこの指針に沿って計画を立てたが、09年度時点で06年度と比べて2割減。目標の達成には、まだ遠い。
有料化は10月1日に始まった。料金は、1匹につき生後90日以内は400円。そのほかは2千円。岐阜市は猫に限って120~240円を請求していたが、10月から値上げして県と同じ料金にした。
県生活衛生課は「有料化で捨て犬が増えたという自治体はなかった」と説明する。全国で愛知、広島、高知の3県が無料だが、来年度からはすべての都道府県で有料になる予定だという。
一方、動物保護に取り組む民間団体は賛否両論だ。
大垣市などで野良猫に不妊手術などをして繁殖を防ぐ取り組みをしている「西濃地域猫の会」には、こんなメールが届いた。「近くの野良猫に子どもが生まれた。保健所に渡すのに、なぜ自分がお金を払わなければいけないのか」
同会の担当者は、有料化でさらに野良猫が増えることを心配する。「捨てた時の罰則強化が必要」などと訴える。
日本動物愛護協会の各務能正・岐阜支部長は「ペットを捨てる前に命を考える機会になる」と、有料化には賛成だ。ただ、保健所で処分される様子など実態が十分に伝わっていないと感じる。「処分を頼むなら、飼い主が最期まで見届けるべきだ。ペットが大量に安売りされる現状が変わらなければ、捨てられる数も変わらない」と指摘する。
近年、高齢の飼い主が倒れて、残されたペットが処分されるケースが後を絶たない。インターネットサイト「ふぁみりあ」で犬猫の譲渡情報を紹介している獣医師の奥田順之さん(24)は「飼い主が少しずつお金を負担し合って保護施設で飼うなど、ペットの次の生活を保障するシステムが必要だ」と話している。
ペットを責任を持って飼ってもらおうと、今月から県内の保健所が犬猫を引き取る際に、手数料を取り始めた。すでに多くの自治体では取り組んでおり、岐阜県の動物行政は遅れ気味だ。「安易にペットを捨てなくなる」と期待する声の一方で、引き取り手がなくて殺処分される犬猫の数を減らす根本的な対策にはならないといった指摘も根強い。
右目が茶色で、左目はブルー。岐阜市の朝居守さん(67)が飼う「クッキー」は、もうすぐ2歳になるシベリアンハスキーの雑種のメスだ。「迷子になっても見分けが付きやすいでしょ」と妻の恵美子さん(64)は、なでながらほほ笑む。
クッキーとは一昨年の暮れ、岐阜市保健所であった犬の譲渡会で出会った。朝居さん宅の近くの堤防で、片目が見えない野良犬が保健所へ連れて行かれそうになるのを見て、次に犬を飼うなら保健所で探すと夫婦で決めていた。
クッキーは子犬の時、繁殖しすぎて困った飼い主に保健所に連れて来られた。恵美子さんは「ブランドの犬じゃなくてもいい。1匹の命が助かれば」と話す。
県内で殺処分された犬は、2009年度は610匹。1997年の5369匹に比べれば1割近くまで減った。猫は昨年度2739匹が殺処分された。97年の4813匹よりも大幅に減っているが、犬に比べると、まだまだ多い。
環境省は06年、自治体で引き取る犬猫の数を、17年度までに半減させる指針を定めた。県もこの指針に沿って計画を立てたが、09年度時点で06年度と比べて2割減。目標の達成には、まだ遠い。
有料化は10月1日に始まった。料金は、1匹につき生後90日以内は400円。そのほかは2千円。岐阜市は猫に限って120~240円を請求していたが、10月から値上げして県と同じ料金にした。
県生活衛生課は「有料化で捨て犬が増えたという自治体はなかった」と説明する。全国で愛知、広島、高知の3県が無料だが、来年度からはすべての都道府県で有料になる予定だという。
一方、動物保護に取り組む民間団体は賛否両論だ。
大垣市などで野良猫に不妊手術などをして繁殖を防ぐ取り組みをしている「西濃地域猫の会」には、こんなメールが届いた。「近くの野良猫に子どもが生まれた。保健所に渡すのに、なぜ自分がお金を払わなければいけないのか」
同会の担当者は、有料化でさらに野良猫が増えることを心配する。「捨てた時の罰則強化が必要」などと訴える。
日本動物愛護協会の各務能正・岐阜支部長は「ペットを捨てる前に命を考える機会になる」と、有料化には賛成だ。ただ、保健所で処分される様子など実態が十分に伝わっていないと感じる。「処分を頼むなら、飼い主が最期まで見届けるべきだ。ペットが大量に安売りされる現状が変わらなければ、捨てられる数も変わらない」と指摘する。
近年、高齢の飼い主が倒れて、残されたペットが処分されるケースが後を絶たない。インターネットサイト「ふぁみりあ」で犬猫の譲渡情報を紹介している獣医師の奥田順之さん(24)は「飼い主が少しずつお金を負担し合って保護施設で飼うなど、ペットの次の生活を保障するシステムが必要だ」と話している。
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