[しっぽの気持ち] 21万の不幸な命=渡辺眞子
元記事:http://mainichi.jp/feature/news/20120403ddm013070004000c.html
遠くに見える頼りないシルエットは、少し移動しては止まり、また移動して止まった。近づくにつれて、それが子猫だとわかる。家のない母猫から生まれたのなら、もっと警戒心が強いはず。でも雑踏の中で蹴られそうになり、踏みつけられそうになりながら、道行く人々を見上げては顔半分まで赤い口を開けて訴える様子は、つい最近まで人と暮らしていたことを想像させる。
足元にいる動物が助けを求める姿に目を留める人はない。か細い鳴き声は都会の喧噪(けんそう)に呑(の)み込まれ、不思議なことに、本当に誰一人として一(いち)瞥(べつ)もくれず、まるでその生き物が透明であるかのように通り過ぎてゆく。子猫は鳴き疲れたのか、さらに小さくなって車の下にもぐった。
人が覗(のぞ)き込む気配を察するや、慌てて飛び出してきた。恐る恐る差し出した私の手から胸へとよじ上り、精いっぱいの声をあげた。毛糸玉ほどの重さの、紛れもないひとつの命。世界にたった独りぼっちで細い脚を踏ん張り、どれだけの恐怖と心細さに耐えてきたのか。
10年度の犬と猫の殺処分数は全国で約21万匹(地球生物会議の全国動物行政アンケート結果)で、猫に限れば約16万匹に上る。飼い主が持ち込む数の倍以上を飼い主不明の猫が占め、その8割以上は生後間もない幼い子猫だ。猫の殺処分数は、親猫に生涯一度の不妊去勢手術を受けさせれば避けられた不幸の数ともいえる。
アメリカでもヨーロッパでも、特に都市部における犬と猫の不妊去勢手術は完全室内飼育と共にごく一般的だ。動物の健康を守る意味でも、殺処分数を減らすにも有効であるとして行政、獣医師、民間団体と個人ボランティアらが協力して普及に努めてきた。一方、日本ではまだ否定的な人が多く、獣医師さえ積極的でない場合がある。
反対する理由としてよく挙げられるのは「不自然」「人間のエゴ」「かわいそう」。健康な体にメスを入れる手術は、不自然でエゴだと私も思う。しかしそれは人に依存せず生きられないペットをつくった時点ですでに始まったことで、だからこそ彼らの命への責任が問われるのではないか。殺処分を受けるために生まれるような命こそ、たまらなくかわいそうだ。(作家)
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| しっぽの気持ち | 05:09 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
>私の手から胸へとよじ上り、精いっぱいの声をあげた。
涙(TT)
小さな命を守るために、その命が生み出されないように避妊去勢する。
せつなすぎるけれど、人間社会の現実ですね・・・
| にゃんとら | 2012/04/05 12:37 | URL |