[報道] 動物愛護管理法の規制強化
毎日新聞 2012年05月02日
元記事:http://mainichi.jp/opinion/news/20120502k0000m070116000c.html
東日本大震災で避難所や仮設住宅の一部で犬や猫の同伴が認められるなど、人の心を支えるペットの重要性が見直されている。その一方、全国では安易な飼育放棄が絶えず、今も年間20万匹の犬猫が殺処分されている。日本の動物愛護は矛盾を抱えている。6月には、ペット業者の規制などを盛り込んだ「動物愛護管理法」の施行令改正が実施されるが、「動物の商品化」が進んでいる現状では、問題解決にほど遠いのが実情だ。
私は、本紙のくらしナビ面を中心に、動物問題を取材している。飼い主の多くがペットを「家族」「うちの子」と呼び、ペットは単なる愛玩の対象から人間社会に欠かせないパートナーになりつつあると感じている。
震災で飼い主を失った動物たちにも、支援の手が伸びた。東京都千代田区の猫の保護グループ「ちよだニャンとなる会」は区と連携し、震災後に仙台市動物管理センターに保護された猫を引き取り、知人のつてやフェイスブックをたよりに40匹近くの引受先を見つけた。子猫を引き取った女性(36)は「被災地の動物を助けたいとずっと思っていた。子ども1人預かったつもりで大事に育てます」と語った。
ペットフード協会の調査では、犬猫の飼育数は2010年で2147万匹に達している。同年の内閣府調査では、ペットを飼育する家庭は全世帯の34%で、3軒に1軒を占めている。40代が37%、50代が45%と、子育てが一段落した中高年世代で飼育率が高い。
東大付属動物医療センター長の佐々木伸雄・獣医師は「高齢者がペットを飼うと、えさやりやトイレの処理、散歩など日々やることがある。ほかの飼い主との会話も生まれ、生活にメリハリが生まれる」とし、高齢社会で今後、ペットの重要性が一層高まると指摘する。
◇増加が目立つ 悪質な販売業者
しかし、ペットのニーズが高まるとともに、悪質なペット販売業者の増加が目立っている。ネット販売も盛んで、病気を隠して子犬や子猫を売る業者もいると聞く。
6月に実施される動物愛護管理法施行令の改正では、犬猫の夜間販売(午後8時〜午前8時)が禁止され、長時間展示される場合は、客の目にさらさない「休憩時間」を設けるなど、極端な「ペットの商品化」に歯止めをかけるための規制が盛り込まれる。「老犬・老猫ホーム」やペットオークション業者も、同法に基づく「動物取扱業者」に加えて規制対象にする。さらに国は、年内にも本法を改正し、ペットの対面販売の義務化や動物虐待の罰則強化などを定めていく方針だ。
だが、悪徳業者の規制だけでは問題は解決しない。動物をモノ同然に売ることが、ブームに乗って「買う」ものの適切に「飼う」ことを知らない飼い主を生み出す。そうした飼い主はペットショップで流行の犬や猫を見かけて、「かわいい」と衝動買いしてしまうのだろうが、その気持ちはどれほど長続きするだろう。
「一昔前、動物病院の『患者』は(犬の)シベリアンハスキーばかりだった。あれだけ人気だったのに、ハスキーは今どこに行ったんだろうね」。ある獣医師が冗談めかして漏らした言葉が忘れられない。
飼えなくなったペットを、保健所など行政機関に持ち込む人は多い。神奈川県動物愛護協会によると、「かわいくなくなった」「子どもが飽きた」「引っ越すから」「(えさや病院代など)お金がかかる」など身勝手な理由が多かった。新たな飼い主が見つかるのはわずかで、大半は殺処分される。
多くの行政機関や動物愛護団体は、犬や猫を新しい飼い主に譲渡する際に「飼い方講習」を開き、「飼育環境が整っているか」などを審査している。同じことを販売の現場でも徹底すれば、一時の感情に任せてペットを「買う」行為を減らせるだろう。一部自治体が導入している避妊・去勢手術への助成も一層の拡大が必要だ。
◇殺処分ゼロの独には「ペット税」
犬猫の殺処分がゼロというドイツには、飼い犬を対象にした「ペット税」がある。犬の飼育数を把握し、爆発的な増加を抑える目的で導入された制度だ。納税義務によって無責任な飼い主が減るわけではなく、国情の異なる日本で、直ちにペット税を導入すべきだとは思わない。しかし、飼育や売買の実態を公的に把握し、透明化するためのドイツのやり方には見習うべき部分も多い。
動物は飼い主を選べない。飼育放棄の歯止めに、業者も飼い主も一体になった取り組みが求められている。
元記事:http://mainichi.jp/opinion/news/20120502k0000m070116000c.html
東日本大震災で避難所や仮設住宅の一部で犬や猫の同伴が認められるなど、人の心を支えるペットの重要性が見直されている。その一方、全国では安易な飼育放棄が絶えず、今も年間20万匹の犬猫が殺処分されている。日本の動物愛護は矛盾を抱えている。6月には、ペット業者の規制などを盛り込んだ「動物愛護管理法」の施行令改正が実施されるが、「動物の商品化」が進んでいる現状では、問題解決にほど遠いのが実情だ。
私は、本紙のくらしナビ面を中心に、動物問題を取材している。飼い主の多くがペットを「家族」「うちの子」と呼び、ペットは単なる愛玩の対象から人間社会に欠かせないパートナーになりつつあると感じている。
震災で飼い主を失った動物たちにも、支援の手が伸びた。東京都千代田区の猫の保護グループ「ちよだニャンとなる会」は区と連携し、震災後に仙台市動物管理センターに保護された猫を引き取り、知人のつてやフェイスブックをたよりに40匹近くの引受先を見つけた。子猫を引き取った女性(36)は「被災地の動物を助けたいとずっと思っていた。子ども1人預かったつもりで大事に育てます」と語った。
ペットフード協会の調査では、犬猫の飼育数は2010年で2147万匹に達している。同年の内閣府調査では、ペットを飼育する家庭は全世帯の34%で、3軒に1軒を占めている。40代が37%、50代が45%と、子育てが一段落した中高年世代で飼育率が高い。
東大付属動物医療センター長の佐々木伸雄・獣医師は「高齢者がペットを飼うと、えさやりやトイレの処理、散歩など日々やることがある。ほかの飼い主との会話も生まれ、生活にメリハリが生まれる」とし、高齢社会で今後、ペットの重要性が一層高まると指摘する。
◇増加が目立つ 悪質な販売業者
しかし、ペットのニーズが高まるとともに、悪質なペット販売業者の増加が目立っている。ネット販売も盛んで、病気を隠して子犬や子猫を売る業者もいると聞く。
6月に実施される動物愛護管理法施行令の改正では、犬猫の夜間販売(午後8時〜午前8時)が禁止され、長時間展示される場合は、客の目にさらさない「休憩時間」を設けるなど、極端な「ペットの商品化」に歯止めをかけるための規制が盛り込まれる。「老犬・老猫ホーム」やペットオークション業者も、同法に基づく「動物取扱業者」に加えて規制対象にする。さらに国は、年内にも本法を改正し、ペットの対面販売の義務化や動物虐待の罰則強化などを定めていく方針だ。
だが、悪徳業者の規制だけでは問題は解決しない。動物をモノ同然に売ることが、ブームに乗って「買う」ものの適切に「飼う」ことを知らない飼い主を生み出す。そうした飼い主はペットショップで流行の犬や猫を見かけて、「かわいい」と衝動買いしてしまうのだろうが、その気持ちはどれほど長続きするだろう。
「一昔前、動物病院の『患者』は(犬の)シベリアンハスキーばかりだった。あれだけ人気だったのに、ハスキーは今どこに行ったんだろうね」。ある獣医師が冗談めかして漏らした言葉が忘れられない。
飼えなくなったペットを、保健所など行政機関に持ち込む人は多い。神奈川県動物愛護協会によると、「かわいくなくなった」「子どもが飽きた」「引っ越すから」「(えさや病院代など)お金がかかる」など身勝手な理由が多かった。新たな飼い主が見つかるのはわずかで、大半は殺処分される。
多くの行政機関や動物愛護団体は、犬や猫を新しい飼い主に譲渡する際に「飼い方講習」を開き、「飼育環境が整っているか」などを審査している。同じことを販売の現場でも徹底すれば、一時の感情に任せてペットを「買う」行為を減らせるだろう。一部自治体が導入している避妊・去勢手術への助成も一層の拡大が必要だ。
◇殺処分ゼロの独には「ペット税」
犬猫の殺処分がゼロというドイツには、飼い犬を対象にした「ペット税」がある。犬の飼育数を把握し、爆発的な増加を抑える目的で導入された制度だ。納税義務によって無責任な飼い主が減るわけではなく、国情の異なる日本で、直ちにペット税を導入すべきだとは思わない。しかし、飼育や売買の実態を公的に把握し、透明化するためのドイツのやり方には見習うべき部分も多い。
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8週齢未満で親から引き離された子犬子猫には、健康面や社会化の面で問題が発生すると言われています。
そして、その問題が原因となって捨てられたり殺処分される犬猫が少なくありません。
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