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「商品」は幼い命

2009年11月17日

 ペットショップのウインドーに展示されている子犬や子猫。あどけない姿は文句なく愛らしく、人々は立ち止まってしばし見とれる。幼い動物たちと、笑顔で見つめる人たちの周囲は明るく楽しげな空気に包まれている--。

 純血種の繁殖を行うブリーダーは、本来ならば1頭ずつの健康管理に気を配った計画的な繁殖を行う。しかし、あくまで営利優先の者がいる。劣悪な環境で、母親の状態など関係なく発情ごとに出産させ、産めなくなれば処分するような繁殖業者が子犬、子猫を持ち込む先は直接提携しているペットショップか、多くは市場だ。それは全国に存在し、1日に1000単位の小動物を扱う大規模なものもある。

 かつて見学したペット市場は魚や野菜のそれとまったく同じ形態で、幼い命が目の前で1分とかからず次々に競られる様は圧倒的だった。その日の朝、母親の胸元から引き離されたばかりの子犬や子猫は業者にとって「商品」に過ぎない。長旅の直後に大勢の前で競り落とされた「商品」たちは裂いた新聞紙と共に箱詰めされ、会場隣の駐車場で待機する軽トラックの荷台に積み上げられる。

 再び移動して店に到着するまでの間、または店頭に並ぶ前に、ストレスや管理の杜撰(ずさん)さから命を落とす個体は少なくない。その数は、ある全国展開するペットショップで年間200は下らないという。こんなことが営々と続けられてきた理由は、ニーズがあるからだ。私たち消費者が人気犬種を欲し、幼い子犬子猫を求めてきたからに他ならない。

 海外の動物愛護先進国では動物の繁殖や流通、販売について法律で厳しく規制している。生後2カ月以下の個体を母親から離すのも移動させるのも、売買も禁止。ペットの生体販売そのものを良しとしない国もある。その点、日本の法律はまだ不十分で実行力に欠け、実際の取り締まりに至るケースは少ないのが現状だ。

 手のひらサイズの幼い子犬や子猫が店頭販売される姿を見て「かわいい」と思うか「かわいそう」なのか。ペット大国といわれる日本。一緒に暮らす動物たちを家族と呼ぶ私たち一人一人の意識をたださなくては、動物たちの受難は終わらない。(作家)
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