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私にできることは

2010年2月9日

 このコラムを書かせていただきながら「もっと楽しい話を提供したい」と、毎回思う。でも私がこうして動物問題に向き合うきっかけは殺処分を待つ犬の姿なので、心はいつもあの場所の動物たちに向かってしまう。

 信じた飼い主から捨てられた犬と猫たち。彼らが残された時間を過ごす収容施設。その灰色の空間を支配する、じんとした悲しみと寂しさをはらんだ重たい空気。そして、殺処分。私は長いこと、それらの現実から逃げていた。知ることが恐ろしかったし、知ったところで何ができるとも思えなかった。

 11年前の1月。大切な宝のような犬が旅立ったとき、闘病期間が長かったことや獣医師への不信もあったことから私は疲れ果てていた。仕事と日常生活は普通にできても、心は空っぽだった。そんなころ、ある巡り合わせから動物問題をテーマにした仕事が舞い込んだ。ただでさえ避けたい話題な上、タイミングとしては最悪だ。頭では「絶対にノー」と言っているのに、口から出たのは逆の返事だった。

 どうして引き受けてしまったのだろう? 後悔しながらも約束を取り付けては人に会い、話を伺う日々。知れば知るほど現状はむごく、動物たちは哀れで、取材はつらいものだった。でも、もっともっと知りたかった。立ち止まりそうになる私の背中を押したのは、かつての私と同じく、問題から目を背けることに罪を感じてきた人たちから届く気持ちだったのだと思う。

 動物にまつわる現場は、確かに過酷だ。けれど、その先には必ず希望がある。それは救うための活動に携わる人々の熱意であり、現場職員の涙ぐましい努力である。救われた命であり、その一頭が新しい家族へ幸福をもたらす姿である。だから決して絶望してはいけないと伝えてゆくのが「私にできること」と信じ、この問題を見つめ続けてきた。その間に恵まれた数々の出会いが、大きな力となってくれた。

 このたび、出版プロデューサー石黒謙吾さんのサポートを得て「犬と、いのち」(朝日新聞出版)を上梓(じょうし)しました。手にした方がそれぞれの「できること」を見つけ、犬たちの現実に光をあてる一助となりますように。(作家)
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