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隣り合わせに生きる者へ

2010年8月26日

 一頭の犬が、夜の繁華街をうろついている。案じてあとを追いかけた彼女が古ぼけた首輪をつかもうとすると、鼻に皺(しわ)を寄せて唸(うな)る。一時はあきらめるのだが、どうにも気になってたまらない。気づいたら、再び必死に町中を探しまわっていた。

 犬が警察署に飛び込んだところを捕獲。しかし飼い主は現れず、市内の動物管理センターに送られることに。その市では当時、成犬の一般譲渡を行っていなかった。だから犬は殺処分を免れない。すると初老の警察官がセンターの職員に頭を下げてくれた。「どうかこの子に、あの犬を譲渡してください」。以来ジェイクは、なかのまきこさんの相棒として共に何度かの引っ越しを経験し、ほうぼうへ旅をし、獣医大学の牧場実習にも同行した。

 その後、獣医師になった彼女は「動物と人の共生」を考える活動を続けた。やがて、あるシンポジウムでの出会いがきっかけで月に1度、往診かばんに聴診器や薬類を詰め込んで、東京・隅田川近くの小さな公園へ通うようになる。ホームレスの人々のために設置された無料の医療相談所や、ボランティアによる青空理容室に並んで置いた机に「動物の診察」という手書きの紙を張り、持ち込まれた犬や猫、うさぎたちの治療を始めたのだ。

 そこに集う人たちは苦境にあってもたくましく、優しい。共に暮らす動物の存在を拠(よ)りどころにし、支え合って生きている。彼女が「仲間たち」と呼ぶ人々は、自分の食費を削っても動物たちのフードを買う。そんな彼らとの交流の先には、路上から抜け出した人があり、病に倒れる人があり、命を落とす人がある。動物も、また同じだ。

 本来ならば、すべて等しく尊いはずの命。しかしそこに強者と弱者という構造があるなら、助け合いたい。ジェイクの保護当時を振り返って彼女は思う。迷子の犬を見かけた人たちは、少なくとも気に留めたのではないか。「誰かがなんとかしてくれるのでは」と、祈るような気持ちで通り過ぎたのではないかと。そこから一歩踏み込むのは難しいことではないと教えてくれる「野宿に生きる、人と動物」(駒草出版)は、同じ時代の、同じ社会で、隣り合わせに生きる者に対する、なかのさんの気持ちが詰まった一冊だ。(作家)
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