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[報道] 物言えぬ命救いたい 犬、猫の殺処分ゼロへ /福岡

 犬や猫の殺処分ゼロを目指す市民ボランティア「あにまる・うぉーく」を主宰する松永典子さん(59)は今月14日昼、迷子の老犬の写真を載せたチラシの束を手に、久留米市高良内町の住宅街を仲間と駆け回っていた。

 市の動物管理センターに留め置かれた老犬。殺処分までの猶予が迫っていた。用水路に落ちて動けなくなっていたところを住民が保護したが、飼い主は分からずセンターに引き取られた。

 耳も目も不自由だが、赤い首輪を付け、穏やかな様子からは、長年、可愛がられて大事に育てられていたことがうかがえた。「帰れる。絶対に飼い主の元に帰します」。松永さんは、歩行能力や比較的汚れていない毛並みなどから、発見現場の近くで飼われていた犬と判断し、飼い主を探し続けた。

 あにまる・うぉーくの活動を始めて今年で7年になる。きっかけは06年、宮若市の力丸ダムの公園に計50頭の衰弱した犬や亡きがらが捨てられた事件だった。居ても立っても居られず、保護された犬たちの世話を始め、このうち2頭を引き取った。現在は、原発避難が長引く福島県浪江町の牛小屋で昨年保護された被災犬「チャッピー」なども預かっている。

 「犬は人の言葉や気持ちが理解できるし、心もある。そんな命を無駄にはできない」。松永さんは、日々の活動の原動力をこう語る。

 時間をみつけては動物管理センターに足を運ぶ。保護された迷い犬や持ち込まれた子犬・子猫たち−−。支援者と協力しながら、飼い主の捜索と毎月の里親探し会の開催などで、これまでに約400頭の命を救った

 自宅や「預かり飼育」を引き受けてくれる支援者の家には、常に飼い主を求める犬や猫たちがいる。だが、松永さんらが、引き取り手が見つかるまで面倒を見られる頭数には、限度がある。

 「ごめん。先に虹の橋を渡っていて。その間に絶対に他の子たちの命を救うから」。どうしても引き取ることができず、振り切るように動物管理センターを後にすることも。帰りの車のハンドルを握りながら声を張り上げて何度も泣いてきた。

 ドッグフードやタオル、洗濯洗剤などの必需品の差し入れ−−。当初、自腹を切ってきたあにまる・うぉーくの運営は近年、支援者からの寄付で賄えるようになってきた。その多くはここを巣立っていった「卒業犬」の家族からのものという。

 松永さんは、この国の犬や猫を取り巻く状況から、「世の中の歯車がおかしく回っている」と感じる。それは、物言えぬ一番弱い者たちへのしわ寄せ。「弱い者に多くの人の目が向けられる社会になれば、いじめや虐待がない優しく生きやすい世界になるのではないか

毎日新聞 2013年05月20日




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