クマ大量出没/共生の在り方考える時機
この秋、全国でツキノワグマの被害が相次いだ。出没情報の異常な多さに加え、今年は人里まで下りてきて、けが人が出るなどトラブルが絶えなかった。元来おとなしい野生動物のクマと人との衝突は、お互いにとって不幸である。
ドングリが凶作といい、山の餌不足が直接の原因とされる。クマが生息する奥山と人里の間で緩衝地帯の役割を果たしてきた里山の荒廃を遠因に挙げる専門家も多い。大勢の人にかみついてけがをさせた静岡県のサルのケースも同様で、野生動物との向き合い方、共生の在り方を真剣に考えねばならない時機に来ている。
環境省によると、今年4~9月に全国で捕殺されたクマは2000頭余り(ヒグマを含む)。10月に入ってもハイペースで、前回大量出没した2006年度の4600頭に次ぐとみられる。クマによる死者・負傷者は84人で、こちらも06年度の150人に迫る。
東北でも連日、出没情報が相次ぎ、福島県西会津町では民家近くの柿の木に登っているのが見つかり、住民に被害が出る恐れがあったため射殺。長井市では中学校校舎に侵入し、職員にけがを負わせる騒ぎがあった。
環境省が全国に照会したところ、秋田、山形、長野など14府県で、クマの餌になるブナやミズナラ、コナラの実が凶作だったという。夏の猛暑に加え、樹木ごとの凶作の周期が重なったためらしい。06年も不作だったから、餌不足との因果関係は間違いないのだろう。
ただ、本来山奥にすむクマが人里まで下りてくるのは、人と動物の生活圏のバランスが崩れているからにほかならない。里山は炭焼きやキノコ採りなどに利用されてきたが、最近は過疎化で間伐などの手入れが行き届かなくなったため、クマが移動しやすくなっているとされる。
里山からさらに下り、集落や農地で果樹、家畜飼料、残飯などの味をしめたクマが、何度も舞い戻るのだともいわれる。
各地で電気柵や、牛を放牧する「カウベルト」などで侵入を防ぐ対策が取られている。捕獲して奥山に連れ戻す際に唐辛子スプレーを浴びせて「お仕置き」をする学習放獣も効果的とされる。だが、いずれも対症療法であり、やはり里山の自然環境回復に向けた息の長い取り組みが欠かせない。
昔からクマは豊かな森のシンボルとされてきた。しかし、国内では九州で絶滅、四国や紀伊半島などで絶滅寸前とされ、森林環境の悪化により生息地域は年々狭まっていくと予想される。人や農作物に被害が出た地域では「駆除すべきだ」との声が強まるが、大量出没の地域であっても個体数が増えているとは限らず、保護を優先したい。
ドングリが凶作といい、山の餌不足が直接の原因とされる。クマが生息する奥山と人里の間で緩衝地帯の役割を果たしてきた里山の荒廃を遠因に挙げる専門家も多い。大勢の人にかみついてけがをさせた静岡県のサルのケースも同様で、野生動物との向き合い方、共生の在り方を真剣に考えねばならない時機に来ている。
環境省によると、今年4~9月に全国で捕殺されたクマは2000頭余り(ヒグマを含む)。10月に入ってもハイペースで、前回大量出没した2006年度の4600頭に次ぐとみられる。クマによる死者・負傷者は84人で、こちらも06年度の150人に迫る。
東北でも連日、出没情報が相次ぎ、福島県西会津町では民家近くの柿の木に登っているのが見つかり、住民に被害が出る恐れがあったため射殺。長井市では中学校校舎に侵入し、職員にけがを負わせる騒ぎがあった。
環境省が全国に照会したところ、秋田、山形、長野など14府県で、クマの餌になるブナやミズナラ、コナラの実が凶作だったという。夏の猛暑に加え、樹木ごとの凶作の周期が重なったためらしい。06年も不作だったから、餌不足との因果関係は間違いないのだろう。
ただ、本来山奥にすむクマが人里まで下りてくるのは、人と動物の生活圏のバランスが崩れているからにほかならない。里山は炭焼きやキノコ採りなどに利用されてきたが、最近は過疎化で間伐などの手入れが行き届かなくなったため、クマが移動しやすくなっているとされる。
里山からさらに下り、集落や農地で果樹、家畜飼料、残飯などの味をしめたクマが、何度も舞い戻るのだともいわれる。
各地で電気柵や、牛を放牧する「カウベルト」などで侵入を防ぐ対策が取られている。捕獲して奥山に連れ戻す際に唐辛子スプレーを浴びせて「お仕置き」をする学習放獣も効果的とされる。だが、いずれも対症療法であり、やはり里山の自然環境回復に向けた息の長い取り組みが欠かせない。
昔からクマは豊かな森のシンボルとされてきた。しかし、国内では九州で絶滅、四国や紀伊半島などで絶滅寸前とされ、森林環境の悪化により生息地域は年々狭まっていくと予想される。人や農作物に被害が出た地域では「駆除すべきだ」との声が強まるが、大量出没の地域であっても個体数が増えているとは限らず、保護を優先したい。
- 関連記事
-
- クマ親子を捕獲 /和歌山
- クマ大量出没/共生の在り方考える時機
- 青森になごむ「猫カフェ」 /青森
| 報道 | 17:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑