ペット保険とは。 /東京
毎日.jp 2010年9月9日
◇医療費補償、特約も多様 法改正で信頼度向上、条件確認し契約を
東京都内の会社員、滑川亜由美さん(30)の愛犬、キャンディ(ペキニーズ、メス3歳)はこの夏、便秘気味。心配した滑川さんは世田谷区のクローバー動物病院を訪れた。「問題なし」の診察に一安心し、窓口で損害保険会社が発行した「保険証」を見せる。これがあれば、医療費の自己負担は大体5割で済む。「少しでも不安なときは、すぐ病院に連れて行きます」とキャンディの頭をなでた。
6年前に愛犬のシーズーを腎臓疾患で亡くした滑川さん。当時はペットのための保険があると知らず、亡くなるまでの半年間は診察や点滴、手術などで約100万円かかった。「ペットは家族の一員。治療のためならいくらでも出す気持ちはあるけれど、正直に言えば、高かった」。その後、インターネットで保険のことを知り、キャンディを飼い始めたときに加入した。
ペットの医療には人間のような健康保険の制度がなく、診察費用はすべて飼い主の自己負担。また、独占禁止法で各獣医師が自由に診察料を設定して競争できる体制を維持することが定められているため、同じ治療を受けても、病院によって支払う金額が異なる。東京都福祉保健局の06年調査によると、犬の飼い主の6割が、1年間に3万円以上の医療費を払っていると答えている。
一方、ペットが長寿化し、人間同様の高度な治療を希望する飼い主が増えていることから、病気をした時の医療費などを補償する「ペット保険」の加入者が増えている。調査会社「富士経済」(東京都中央区)が4月にまとめた試算によると、加入件数は10年12月末時点で54万1000件。前年同期に比べ24・7%増え、過去最多になる見通しだ。富士経済広報部は「保険の信頼度が向上した結果」と分析する。
以前のペット保険は任意団体による共済形式で、監督官庁や根拠法が存在しなかった。しかし、業者の相次ぐ倒産が問題化。契約者を保護するために06年4月に改正保険業法が施行され、保険業の免許や財務局への登録が必要になった。この結果、既存業者の大半が廃業し、現在は損保など約10社がペット保険を取り扱っている。
各社のペット保険は通院費や手術代などを30~100%の範囲で補償するというもの。自分のペットが他人にけがをさせた際の損害賠償を補償したり、葬儀代を出したりする特約もある。保険料はペットの種類や年齢で幅広く、例えば1歳のミニチュアダックスフントの場合、各社で月額1000円台から5000円台までのプランがある。
業界最大手のアニコム損害保険(東京都新宿区)は全国のペットショップと代理店契約を結び、加入者を増やしている。保険の加入率は現在、ペットを飼う世帯の約2%だが、富士経済は今後10~15%まで伸びるとみている。
動物病院側もペット保険の加入者増を歓迎する。クローバー動物病院の蜷川圭一院長は「ペットの調子が悪くても、保険に入っていないと、治療費を気にして『もう少し様子を見てみよう』と考えがち。保険に加入していると手遅れになる前に受診してもらえ、治療の選択肢も広がる」と話す。
動物医療の現場では、治療費を払わず会計の合間に姿を消したり、治療費の請求に応じないまま音信不通になったりする飼い主が問題化している。蜷川さんはそうした「踏み倒し」の抑止効果も期待する。
ペットを巡るトラブルの相談を行っている行政書士、福本健一さん=東京都台東区=は「法改正で悪質業者はなくなった。ただ、人間の保険と同様に、補償の内容が細かくなってきた。トラブルを避けるため、補償の条件などをきちんと理解してから契約してほしい」とアドバイスする。
◇医療費補償、特約も多様 法改正で信頼度向上、条件確認し契約を
東京都内の会社員、滑川亜由美さん(30)の愛犬、キャンディ(ペキニーズ、メス3歳)はこの夏、便秘気味。心配した滑川さんは世田谷区のクローバー動物病院を訪れた。「問題なし」の診察に一安心し、窓口で損害保険会社が発行した「保険証」を見せる。これがあれば、医療費の自己負担は大体5割で済む。「少しでも不安なときは、すぐ病院に連れて行きます」とキャンディの頭をなでた。
6年前に愛犬のシーズーを腎臓疾患で亡くした滑川さん。当時はペットのための保険があると知らず、亡くなるまでの半年間は診察や点滴、手術などで約100万円かかった。「ペットは家族の一員。治療のためならいくらでも出す気持ちはあるけれど、正直に言えば、高かった」。その後、インターネットで保険のことを知り、キャンディを飼い始めたときに加入した。
ペットの医療には人間のような健康保険の制度がなく、診察費用はすべて飼い主の自己負担。また、独占禁止法で各獣医師が自由に診察料を設定して競争できる体制を維持することが定められているため、同じ治療を受けても、病院によって支払う金額が異なる。東京都福祉保健局の06年調査によると、犬の飼い主の6割が、1年間に3万円以上の医療費を払っていると答えている。
一方、ペットが長寿化し、人間同様の高度な治療を希望する飼い主が増えていることから、病気をした時の医療費などを補償する「ペット保険」の加入者が増えている。調査会社「富士経済」(東京都中央区)が4月にまとめた試算によると、加入件数は10年12月末時点で54万1000件。前年同期に比べ24・7%増え、過去最多になる見通しだ。富士経済広報部は「保険の信頼度が向上した結果」と分析する。
以前のペット保険は任意団体による共済形式で、監督官庁や根拠法が存在しなかった。しかし、業者の相次ぐ倒産が問題化。契約者を保護するために06年4月に改正保険業法が施行され、保険業の免許や財務局への登録が必要になった。この結果、既存業者の大半が廃業し、現在は損保など約10社がペット保険を取り扱っている。
各社のペット保険は通院費や手術代などを30~100%の範囲で補償するというもの。自分のペットが他人にけがをさせた際の損害賠償を補償したり、葬儀代を出したりする特約もある。保険料はペットの種類や年齢で幅広く、例えば1歳のミニチュアダックスフントの場合、各社で月額1000円台から5000円台までのプランがある。
業界最大手のアニコム損害保険(東京都新宿区)は全国のペットショップと代理店契約を結び、加入者を増やしている。保険の加入率は現在、ペットを飼う世帯の約2%だが、富士経済は今後10~15%まで伸びるとみている。
動物病院側もペット保険の加入者増を歓迎する。クローバー動物病院の蜷川圭一院長は「ペットの調子が悪くても、保険に入っていないと、治療費を気にして『もう少し様子を見てみよう』と考えがち。保険に加入していると手遅れになる前に受診してもらえ、治療の選択肢も広がる」と話す。
動物医療の現場では、治療費を払わず会計の合間に姿を消したり、治療費の請求に応じないまま音信不通になったりする飼い主が問題化している。蜷川さんはそうした「踏み倒し」の抑止効果も期待する。
ペットを巡るトラブルの相談を行っている行政書士、福本健一さん=東京都台東区=は「法改正で悪質業者はなくなった。ただ、人間の保険と同様に、補償の内容が細かくなってきた。トラブルを避けるため、補償の条件などをきちんと理解してから契約してほしい」とアドバイスする。
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