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成犬を救う努力

2010年12月21日

 狩猟の季節が終わると猟犬が捨てられる。こんな身勝手な行為が実際に起きている。行政施設に犬を持ち込んだ人は、首についた猟犬用の鈴を外してほしいと職員に告げた。次のシーズンに、新しい犬に使うからと。

 モグも恐らく、そうして捨てられたポインターだ。骨格がわかるほど痩せ細った体と不安げな表情もだが、特筆すべきは行動だった。動くもの聞こえるもの、何もかもが怖いらしく、部屋の隅で震えていた。一体、どんな仕打ちを受けてきたのか。

 しかしモグは運の悪い犬ではなかった。収容されたセンターの新しい取り組みである成犬の譲渡対象として認められ、殺処分を免れたのだ。職員らから怯(おび)えを軽減する訓練を受けたのち、保護団体ドッグシェルターを経由して一時預かり家庭に移動し、人との生活に慣れる練習を始めた。

 8カ月が経過し、モグの心と体は少しずつ癒えつつあった。それでも物音や新しい環境には敏感でパニックに陥りやすく、サイズが大きいことからも本当の家族を探すのは困難に思えた。でもモグは運の悪い犬ではない。一緒に生活するには面倒や難しさがあるのを承知で、名乗りをあげる人が現れた。

 約1年前に愛犬タオを亡くした西健一さんと光さんは、再び犬との生活について考え始めたところだった。タオの面影を求め、日本犬の雑種を探していたネット上で、たまたまモグの動画に出会った。それはドッグシェルターのスタッフが、モグのペースにあわせて根気よく接する様子を映したもの。モグは細い尾を後肢の間にはさみながらも、人との信頼関係を築く努力をしていた。

 モグの首には今、鈴でなくタオの首輪がついている。タオの匂いが消えないようビニール袋の口を固く縛って保管していた大切な首輪だ。ドッグランで走っていても、呼べばすぐ戻ってくるモグを、西さんは「この世で一番かわいい」と言う。この言い方なら、天国のタオも許してくれるだろうから。

 誰かが捨てた犬がいる。救った人がいる。その犬と暮らす毎日に笑顔が生まれ、共に過ごす時間は家族の歴史となる。小さな命が生きて、輝いて、人を照らす。どの命にも意味と役割と可能性がある。(作家)

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